なぜメタデータが重要なのか
メタデータとは、音源ファイルと一緒に伝わる情報です。
この情報によって、次のことが決まります。
- 楽曲がどれだけ見つけやすいか
- どれだけ早く権利確認・クリアができるか
- 誰に連絡すべきかが正しく伝わるか
- ファイルがどれだけプロフェッショナルに見えるか
整理されたメタデータは信頼を生みます。
乱れたメタデータは摩擦を生みます。
シンクピッチ、A&Rレビュー、ラジオプロモーションなど、スピードが求められる音楽業界の現場では、正確さがすべてです。
ID3v2メタデータとは
ID3v2 は、以下のファイル形式で使われるメタデータ規格です。
- MP3
- AIFF
- 多くの業界標準ソフトウェア
重要
WAVファイルは、ID3v2メタデータを安定して保持できません。
DISCOでは、業界で最も広く使われているID3v2フィールドをサポートし、他のプラットフォームやツールとの互換性を確保しています。
メタデータの基本原則
各フィールドの説明に入る前に、以下のルールを守ってください。
- 正確に
- 一貫性を保つ
- 簡潔に
- 不要な記号や注釈を入れない
- 情報を詰め込みすぎない
- 受け取る側がどう検索するかを想像する
メタデータは単なる事務作業ではありません。
チャンスを支えるインフラです。
必須フィールド(最低限の基準)
ゼロから始める場合、最低限以下は必ず入力してください。
- Title
- Artist
- Contact情報(Comments欄)
- Artwork
- Lyrics
これがプロフェッショナルな納品の最低ラインです。
フィールド別ベストプラクティス
Title
楽曲名。必要なバージョン情報のみを含めます。
含める例
- Instrumental
- TV Mix
- Demo
- Clean / Explicit
- フィーチャリングアーティスト
表記のポイント
- 読みやすく
- 内部メモ的な表記は入れない
- 共有前にトラック番号は削除
- 括弧の使い方を統一する
例
- Midnight Drive (Instrumental)
- Golden Hour (feat. Luna) [Clean]
Artist
メインのアーティスト名、またはバンド名。
記載しないこと
- セッションミュージシャン全員
- 作曲者(※演奏アーティストが存在しない場合を除く)
表記や大文字・小文字の違いは、別アーティストとして認識される原因になります。必ず統一してください。
Album
アルバム、EP、またはシングル名。
必要に応じて、補足情報は括弧で追加します。
例
- Live at Carnegie Hall (Remastered)
Composer
作曲者(または、あなたが管理・権利を持つ作家のみ)。
詳細なスプリットや出版情報は、Comments欄に記載してください。
(情報量が多く、視認性も高いため)
Genre
具体的に、しかし絞って設定します。
良い例
- Indie Pop
- Neo-Soul
- 80s Funk
2〜3ジャンルまでに抑えてください。
※「upbeat」「dark」などのムード表現はGenreには入れません。
それらはComments欄に記載します。
Grouping
Grouping欄は、ファイルと一緒に伝えたい上位レベルの情報を入れるのに適しています。
主に、次の2つの使い方があります。
1. 権利・クリアランス情報(特にシンク用途)
例
- One Stop | licensing@email.com
- 100% Master | 50% Publishing
- Master: XYZ Records | Publishing: ABC Music
注意
ソフトウェアによってGrouping欄の表示方法は異なります。
そのため、重要な権利情報は必ずComments欄にも重複して記載してください。
Groupingは「補助」。
Commentsが主役です。
2. カタログ/レーベル/出版社の識別
複数のカタログやレーベルを扱う場合に有効です。
例
- Sunset Sync Catalog
- Bluebird Records
Year
オリジナルのリリース年を入力します。
リマスターや再リリースの場合は、Album欄で補足してください。
Release Date
検索・フィルタリングの精度が向上します。
該当する場合は入力を推奨します。
BPM
テンポ(Beats Per Minute)。
以下の用途で特に役立ちます。
- 編集者
- DJ
- プロデューサー
- テンポ指定が必要なシンク検索
Track Order
アルバム内の曲順。
例
- 1 of 10
- 2 of 10
ISRC
**ISRC(国際標準レコーディングコード)**は、商業リリースされた音源の識別番号です。
通常、レーベルまたはディストリビューターが発行します。
Lyrics
見落とされがちですが、非常に重要です。
Lyricsは:
- 共有されたDISCO Playlist上に表示される
- ダウンロードされたファイルと一緒に渡る
- シンク検索で頻繁に使われる
歌詞を入れることで、発見性は大きく向上します。
時間がない場合は、DISCO AIによる歌詞自動書き起こしも利用できます。
Artwork
可能な限り、オリジナルのアートワークを使用してください。
用意できない場合は:
- 清潔感のあるプロフェッショナルな画像を使用
推奨仕様
- 1000 × 1000 px
- Web表示に最適化
- ダウンロードサイズが大きくなりすぎないよう注意
Comments(最重要フィールド)
Comments欄は、プロフェッショナルとしての保険です。
最低限入れる情報
- あなたの名前
- メールアドレス
推奨追加情報
- 作家スプリット
- 出版社名
- PRO情報
- マスター音源の権利者
- コントロール情報(該当する場合は「One Stop」)
- ISWC
- レーベルコピー
- ムード表現
例
Contact: jane@email.com 100% Master (Control) | 50% Publishing (Control)
Writers: Jane Smith (ASCAP) 50% (Control)
Joe Tree (PRS) 50% (Mushroom Publishing)
ここが明確だと、ライセンス判断が一気に早くなります。
シンク向けメタデータのポイント
シンクピッチ時は、以下を特に意識してください。
- 所有比率を明確に記載
- ライセンス可能な持分には「Control」と明記
- すべての権利者の連絡先を記載
- 曖昧・不完全なスプリットを避ける
**音楽スーパーバイザー(Music Supervisor)**が最も重視するのは、スピードと正確さです。
ある音楽スーパーバイザー(Music Supervisor)の言葉:
「正しい曲名、アーティスト、作曲者、連絡先は最低条件。ジャンルやムードのタグがあると、検索が一気に速くなる。」
よくあるメタデータのミス
- 大文字・小文字の不統一
- Titleに不要なバージョン情報を詰め込みすぎる
- 連絡先の記載漏れ
- Genreにムード情報を入れてしまう
- Lyricsを入れ忘れる
- 権利関係が不明確
小さなミスが、大きなロスにつながります。
受け取る側の視点で考える
共有前に、次の質問を自分にしてください。
- すぐにライセンス判断できるか?
- 権利関係は明確か?
- 連絡先はすぐ分かるか?
- 検索しやすいか?
- 一目でプロに見えるか?
すべて「はい」なら、そのメタデータは機能しています。
まとめ
メタデータは、あなたの音楽が:
- 見つかるか
- ピッチされるか
- クリアされるか
- 採用されるか
を左右します。
それは、プロフェッショナリズム・信頼性・即戦力のサインです。
整理されたメタデータは、時間とともに価値を積み上げます。
創作の一部として扱いましょう。後回しにするものではありません。
